「目と目と目」

NOBUYAの一周忌の8月27日を迎える。本当にあっという間の一年だった。まるでさっきのことのように…。

本命日の27日には私達のふるさと余市で法要をすることになり、それに合わせて余市、札幌、岩手、福島でARTGYPSY ARTSHOWをやることになった。
屋久島の森の旅人、健太と奈央が車で家まで来てくれて私とドンと作品を運んでくれるのだ。本当にありがたい。NOBUYAがいない今もこうしてARTSHOWができることが夢のようだ。ドンと一緒に一年前のツアーを辿る旅ができることが嬉しい。今回の旅はひとつの大事な節目になる気がしている。

最近やはり一周忌が近いせいか、ちょうど一年前の今頃をよく思い出す。「あの時こう言ってたな」とか「こんな仕草をしてたっけ」など、その時は気にもとめなかったことが鮮明に浮かんでくるのだ。そしてそのビジョンはきまって最後の瞬間へとフラッシュバックする。それはもう私のすべてに焼きつてしまったかのようだ。突然尋常じゃない様子になり、一度目の前で倒れそうになったNOBUYAはふらふらとした足取りで玄関を開けドンを見てくるっと向き直り、「ふんっ!!」というなんともいえない腹の底からの声を上げ上体をまっすぐお越し、私の目を凝視してきた。私はショックを受けながらも、この大切な時を全て受け止めようとしっかりとNOBUYAを見つめ返した。その時間はなぜかとても長く感じられた。一瞬の永遠のように…。もう言葉はいらない。その瞬間だけを全身で感じていた。それはまるで映画のワンシーンのようで、侍が切られたのち再びすくっと立ち上がった姿のようでもあった。そこには不思議なデジャブのようなものを感じているもう1人の私がいるような気がした。

最近仕事で会ったお医者様とその話になった時「NOBUYAさんはきっと視覚の機能が失われるギリギリまで、∀KIKOさんを見ていたかったんですね」と言っていた。この最後の瞬間は私にとっては尊い贈り物のような時間となった。心の中で「ありがとう。愛してるよ。」をずっと繰り返しながら、ただ見つめ続けることができたから。NOBUYAはきっといつものように「知ってるよ。」と思っていただろう。この贈り物のおかげで私はいつでもその目に会うことができる。来世で出会った時には目を見て懐かしさを覚えるのかもしれない。そして私の最後の瞬間にも目を閉じるときっと見えてくるような気がしている。

どこにいようとも永遠に愛しているよ。ありがとう。