屋久島

屋久島からの旅を終えて帰ってきたばかりだ。

この島を訪れたのは実に7年振りだった。7年前の2017年の春、ARTGYPSY TOURでNOBUYAとDONとともに上野原から岐阜、愛知、奈良、岡山、四国、福岡、熊本と個展とアートショーを開催しながら屋久島へ辿り着いた。毎年恒例となっていたツアーだった。その時の屋久島での個展会場で開催されたアートショーでは、いつもは各地で活動するミュージシャンにゲストとして音を添えてもらい、即興でコラボレーションをしていたが、屋久島の親友NAOの強い望みでNOBUYAのDJとの初のコラボレーションが実現した。アートショーの後はそのままNOBUYAのDJでパーティーになり、絵の中で、訪れた人々とともにダンスで大いに盛り上がった。それがNOBUYAが最後に訪れた屋久島となった。あの時、一緒にコラボできて本当によかった。一生の思い出となったから。そうして一度上野原に戻り、今度は北へと向かったツアーでNOBUYAは突然旅立ってしまったのだった。それから状況が一変してしまい、DONと2人の暮らしが始まり、ツアーに出ることはなくなった。DONとの生活は濃密で沢山の発見と驚きに満ちていた。私はこの時間を心から愛しDONを愛した。そして昨年の12月21日にDONが旅立ったことで私は今、初めて1人の時間を過ごしている。NOBUYAと付き合い始めた15才の時からずっと、片時も離れず一緒だったので本当に1人になったのが人生初という感覚なのだ。それで、この7年間頑張った自分へのご褒美として久しぶりに親友夫婦が暮らす屋久島へと旅に出たのだ。

屋久島は私達の最初のオオカミ犬nociwの子供としてDONが貰われて行った場所でもある。そこで彼は7才まで過ごしていたのだ。私と暮らした時間と同じ7年間をこの地で生きていたと思うと、とても感慨深いものがあった。今回その時の最初の飼い主となった方にも会いに行った。直接お礼を言いたかったからだ。DONが帰ってきてくれたお陰でNOBUYAの旅立ち後、私はどれほど救われたか知れない。その感謝の気持ちを伝えたかった。「ありがとう」と言うと「最終的に行くべきところへ行って良かった。ありがとう」と言ってくれた。写真を見せると「ストレスゼロの顔をしているわ」と笑っていた。DONにまつわるすべてがクリーニングされた瞬間だった。

滞在中もずっとDONを感じていた。マッサージを受けた時には初対面の施術者の方に、会うなり「動物が守ってくれていますね」と言われ「その子はあなたに、ただただ愛と感謝を伝えています」とのことだった。別の場所でオラクルカードを引いてみるとオオカミのカードが現れた。屋久島クジラ・イルカ研究所のNAOとともにクジラの調査に海へ出た時もクジラの親子に出会うことができた。NAOが言った「この時期にこんなに近くにずっといること自体が奇跡だよ。絶対DONが∀のために出会わせてくれてるとしか思えない」と。私もクジラを見ながらDONを感じて泣けてしょうがなかった。森に入ってもその感覚は同じだった。「美しい」と感じる度にDONの気配に包まれるのだ。そして、屋久島出発の前夜にとうとうDONが夢に出てきた。私は夢中で彼を抱きしめ撫で続けていた。朝、目が覚めてもその感覚がずっとリアルに残っていた。「ありがとう。愛してるよ」私はとても満ち足りた幸せな気持ちで島を出た。上野原に戻って今は、来週から始まる群馬県での個展と、GWに開催される鳥取県での個展の準備に励んでいる。12月には屋久島での個展も決定した。2024年は自分の人生にとって、とても大切な新たな旅が始まる予感がしている。

この地球に生きるすべての仲間達とのつながりに、心から愛と感謝をこめて。