enjoy the moment

3月9日から始まる個展にむけて、制作の日々である。

12月に個展を終えたばかりのような気がしていたが、もう今になっているという感じだ。DONは2月7日に四十九日を迎えた。早いなぁ…。今でも毎日思い出すし、声をかけている。NOBUYAは旅立ってすぐに色んな姿になってサインを送ってくれたが、DONもそうなのだ。最初にきたのは旅立った3日後、それは「クルミ」になって現れた。友達夫婦と家から坂道を下っていて、山道から舗装された道になった途端に、いきなり一個のクルミが私達の前を先導するようにコロコロと転がり出した。行きすぎるとしばらく止まって待ち、また私達と一緒に転がり出すといった具合で、それはまるでDONと散歩している時の彼の仕草そのものなのだ。3人ともすぐに「DONだねぇー」と言いながら「果たしてこのクルミはこのあと、一体どうなるのだろう?」と考えていた。「普通はどこかで自然に停止するだろうな…」と。すると、3人ともが心の中で「まさかなぁ..いやでも、もしDONだったらありえるかも…」と思っていた通り、なんと離れた道路脇にある排水溝の蓋の中央に空いている小さな穴めがけて勢い良く転がっていき、ジャンピングしてその中へと見事に入っていったのだった。「ホールインワン!」友達が思わず声をあげた(笑)本当に、まるであの世とこの世の世界を行き来している姿を一瞬垣間見たかのような不思議な感覚になった。

そして、鳥になってやってくることもとても多い。同じ時間に一羽だけやってくることが続いたり、製作中視線を感じるのでふと窓の外を見ると、見たこともない美しい鳥が一羽止まっていたりするのだ。一番最近では私の誕生日に友達からメールで写真が送られてきた。その友達の友達がその日、空を見上げたら「雲がDONになっていた」と、その友達に写真を送ってきたのだそうだ。それを見て友達は「これは∀に送らなくちゃ」と思い即メールしてくれたのだが、彼女はその日が私の誕生日だとは知らなかったのだった…。「DONはすごいね。スーパーワンだね!」と彼女。「うん。愛しのスーパーワンだ!」と私も思った。それからもうひとつ不思議なことがある。DONが旅立った日に贈られてきた花達が今も枯れずにいるのだ。時に美しいままなのが、DONが行っていた動物病院から贈られたものだった。しかも私は病院には連絡していなかったのだ。病院の方々はいつも「奇跡のDONちゃん」と言って可愛がってくださっていた…。

そんなこんなで、DONを感じながら生活する幸せな日々を送っている。3月の個展ではNOBUYAの旅立ち後、DONと過ごした7年間に、こつこつと描き続けたライフワークのひとつでもあるFLAGの作品と、DONの旅立ち後にDONのエネルギーに包まれながら夢中で描いた作品達を発表します。会場は今年で3年目となる横浜金沢文庫のアサバアートスクエア。ここはもう家族同然でビッグマザーの和子さんを私は心から尊敬してるのだが、私の母も和子なので、それだけでつい嬉しくなってしまうのだ。私の母は先日、脳外科の病院を退院して自宅で生活しながら、失語症のリハビリに励んでいる。初めて向き合う母の症状との関係もまだ始まったばかりだ。昨年は母にとっても私にとっても激動の年だったが、お互い人生において新たな段階にきているということだろう。今までもそうだったように、これからも自分自身を信じていくしかない。先日、友達とやり取りしたメールの最後に送られてきた言葉に思わず笑顔でうなづく私だった。

「時はあっという間に過ぎるからさ、今を楽しんで生きよう!」