「風にふかれて」

今年も気がつけばあっという間に10月が終わろうとしている。早いものだ。

只今、鳥取大山で開催される「イトナミダイセン芸術祭」に参加させて頂くための準備と、帰ってきたらすぐに湯河原でのリトリートイベントが入っているのでその準備とを同時にやっていて「あれっ?これどっちだっけ?」と頭がこんがらがったりしているところだ。NOBUYAがいないことで左脳がない状態なのだから仕方がない(笑)でもふと「NOBUYAがいないのになんとかなっている今の状況って奇跡じゃん!」と、自分はつくづく恵まれていることに感謝して今に立ち返るのだった。それもこれも、やっぱりご縁が繋がってここまで運ばれてきたこと。今まで出会ったすべてのものに「ありがとう」という気持ちで今日も生きる。

大阪の百貨店での展示が終わってひと月が経つが、そこで出会った方から今でもご連絡を頂いたりして「こうしてご縁というものは繋がっていくのだなぁ」としみじみ感じる。そんな中でも大阪では忘れられない出会いがあった。その方はお友達に誘われてたまたま付いてきただけだったのだが、DONの母親のnociwを描いた小さなポストカードを見た途端「これってもしかして、あなたがお描きになったんですか?」と聞いてきたので「そうですよ」と答えると「えっ。まさか….。えええーっ!」と驚愕の声をあげてその場に崩れ落ちそうになったのだ。連れて来たお友達の方も逆にびっくりするほどに、とにかくすごいエネルギーが吹き出したのである。どうしたことかと聞いてみると「20年くらい前に初めてお会いしたご夫婦からこのカードを渡されて、それ以来そのご夫婦には会ってないんですけど、私はこの絵に魅了されてそれからずーっと心の奥深くに残っているものだったんです。まさか、ここで作者の方にお会いできるとはなんという奇跡でしょう!…」彼女の顔は涙に濡れながら喜びで輝いていた。私は何ともいえない不思議な気持ちに包まれ、そしてとても嬉しかった。「目の前で出会ったばかりの人が、こんなにも喜んでくれている…」その時、これが今回神様からの最大の贈り物なのだと思った。その方は最終日にも1人で来られて、私はもう一度彼女に会うことができてとても嬉しかった。この後はインドへ旅立つのだと彼女は言った。インドの伝統楽器シタールを修行中で一年の半分はインドで生活をしているとのことだった。「私、百貨店とかは入らないですし、人に対してもこんな積極的な態度は取ったことがないんですけど、やっぱりどうしてももう一度お会いしたくて来てしまいました」とそっと告げてくれた。手を振りながら笑顔でエスカレーターを下りて行く姿が何とも神々しく輝いているように私には見えた。そして「あっ!」と思ったのだ「あの方が神様だったのだ.」と….。

20年経って実る種、すべてが愛しい種たちである。