2011

2011.12.10_>>>_満月

「ツアーファイナル」2011年ARTGYPSY の旅もファイナルへと近づいてきた。最後の個展開催地、四国は徳島の神山では個展初日が満月で皆既月食だった。この日はオープニングイベントとして∀&N ARTSHOW vol.1もあり、まさにツアーファイナルにふさわしい日となった。お世話になっている楽音落日の茶屋「楽々茶屋」の隣にオープンした「blue bear office」のギャラリーは、今回の「I Love nociw」展の皮切りとなった東京日野市にあるギャラリー「大屋」と驚くほどソックリで、しかもオーナーの主人がどちらもかつて照明と音響をやっていたというところまで一緒だった。展示を終えて楽音落日の「ひさ」さんと「まりこ」さんが「うわーっ。このギャラリーに∀の絵はぴったりやわー!」と、とても喜んでくれ私もNOBUYAも嬉しかった。二人の娘でシンガーソングライターの「宮城 愛」と神山に暮らすミュージシャン「サダ」にジョイントしてもらい満月のアートショーを終えた。今回それぞれのツアー地、阿蘇、屋久島、高知で毎回違うミュージシャン達とDJと絵と詩でセッションしてきて「こんなに楽しいことがあったのか!」と我ながら驚かされるアートショー。ジョイントするその土地土地のミュージシャンにも「本当に楽しかった。また来年楽しみにまってます!」と言われてその土地を後にし、故郷がいくつも増えた思いでいる。神山でのアートショーを終えてすぐにひさ&まりこさんから「これは一回じゃもったいないからもういっぺんやってや!」と言われ個展開催中もう一度やることに。実は高知の「ビスタリ食堂」では三日間連続でアートショーを行った。それも毎日違うミュージシャンと。あのドキドキがまた味わえるかと思うと楽しみでならない。愛ともアーティスト同士として接することができて、彼女もとても喜んでくれているのが伝わる。ギャラリーにはnociwがいてnociwの絵とともに本物と出会い喜んでくれるお客さん達。すべての土地のギャラリーでそれが実現できたことが幸せだった。そのことは本当に心から感謝している。nociwが一番そう思っているだろう。高知でも幸せ過ぎてビスタリ食堂の「マットン」や「まぁみぃ」そして縁を紡いでくれた「さえ」ちゃんに、感謝してもしきれない。そのもとを辿れば屋久島の森の旅人「KENTA&NAO」へと繋がっていくのだが…。二人の愛を今も感じている。屋久島での個展もお陰さまで本当にすごかった。まぁ屋久島での話はまた改めて書くことにして、今はここ四国、神山での一日一日を大切にしようと思う。これから出会う人達に思いを馳せながら、アートジプシーツアーの締めくくりを思う存分味わうことにしよう。神山の人々も本当に素敵だ。言葉では表しきれない思いを胸にまた今日も一歩前へ。出会ってくれたみんな、ありがとう。愛してます!
 
_ 2011.11.11_>>>_満月

「ARTGYPSY 阿蘇」アートジプシーのツアー中で阿蘇にいる。日の国のパワーを強烈に感じる日々だ。満月の日は弊立神宮で、親友「MARIO」の結婚式があり、次のツアー地である屋久島からファミリーが集結した。前日に弊立神宮の龍神池のすぐそばにある道場にみんなで泊まり、結婚式には仲間達が音楽の奉納演奏をし、静かで神聖な儀式が厳かに行われた。とても美しかった。神前に以前「KENTA」が奉納した屋久杉を磨いて作った龍の卵と昨年、弊立神宮に来たホピ族の酋長が奉納したトウモロコシの粉を入れた壷が並んで祀られていたのには感動した。ここは私もNOBUYAも大好きな神社だったし、この日にこうしてここに集まった仲間達とは、やはりともに何かをやり遂げる役割があるような気がしてならなかった。阿蘇で同時開催中の個展の会場のひとつであるそば屋「日出や」でパーティーがあり、MARIOの夫である日出やの主人「ひでぼー」の仲間達とともに二人の門出を祝ったのだが、本当に九州の人達のハートの熱さにはただただ圧倒されてしまった。もうひとつの会場「narayana」は高尾の家の元隣人である「えいじ」と「まりこ」が開いた場所だ。そこにはえいじとともに敷地内に新たな遊び場を作るべく、住み込みで大工を手伝っている「やまさん」と「こうへい」がいて、彼らもまた、えいじと同様音楽が大好きなのだった。しかもとっても音のセンスがよくて、阿蘇の雄大な山並みを見ながらたき火をしたり、星をみたり、みんなでセッションするのが最高に楽しい個展の日々である。昨年からNOBUYAと始めた「∀&N ARTSHOW」のVOl.1もいよいよこのツアーからスタートする。絵と音と詩で何が表現できるのか?これから各地を回りながら、それぞれの地でアーティスト達と交わりながら、経験を重ね、クオリティを上げていけたらと思う。そして私達が目指しているアートでともに楽しむこと、来てくれた人達に心から喜んでもらえることを実現できたなら、私達にとってそんな幸せなことはない。理想を現実にする夢を抱きながら、これからも一歩一歩前進していきたいと思う。とにもかくにも、こんな生き方ができるのは、すべて私達の回りにいる人の輪のお陰様だ。そのことを絶対に忘れちゃいけないと自分に言い聞かせる。彼らのことを考えると、その暖かさにいつだって涙があふれてきてしまうから。いつも一生懸命に応援してくれて本当にありがとう。感謝しています。屋久島に渡る前にこの阿蘇の地で、まだまだアートジプシーの足跡を残していくことになりそうだ。明日が楽しみでならない。「わっしょい!」
 
_ 2011.10.12_>>>_満月

「I Love you」個展が終わった。新作展を行ったギャラリー大屋での初日は台風16号の上陸で外は暴風雨。こんな個展のオープニングは初めてだった。そんな中、龍の島、屋久島からファミリーの「KENTA+NAO」がやってきてくれた。「龍神様からのお祝いだよーおめでとー!」と励まされ始まったI Love nociw展。大屋は築130年の米蔵だったということもあって心が落ち着く空間だった。お客さんが「ここだけ周りと全く違うバイブスですね」と言っていたように外から見るとやはり、そこだけジブリなのだった。店の前に立つ2本のプラタナスの樹はまるで夫婦の守り神のよう。昔はここら辺一帯がプラタナスの並木で彩られていたという。目の前の通りは旧甲州街道で、新撰組の日野宿本陣も近く、大屋の前を新撰組の面々が闊歩していた様子が想像できる歴史のある場所でもあった。ここのご夫婦の「まゆみ」さんと「きむにー」は感じていた通り素敵な人達で、あまりに居心地がよくて故郷に還ってきたような思いがした。前日から我が家に泊まりに来ていた「タテタカコ」のライブも最高だった。nociwへのタカコの愛がビシビシ伝わってくるライブ。絵と音の場に集う人々の光景が太陽に照らされて輝いていた。nociwの絵に囲まれて歌うタカコが本当に幸せそうだったのも嬉しかった。DJ NOBUYAの音も最高でつかの間、百年の時を遡る旅へと誘ってくれた。nociwだらけの親バカ展は「見ていると体の奥からポカポカしてきて、今とても暖かいです」という人の声が多かった。「nociwの息使い、音までもが聞こえてきました」という人達もいた。愛も絵もエネルギー。みんな、そんなエネルギーを感じてくれているようだった。愛といえば、もう一方の個展会場ajitoで行ったオープニングエキシビジョン「The beginning」のオープニングパーティーでの「宮城愛」のライブも本当に良かった。初めての東京で少し緊張気味だった愛は、高校生だった頃と印象が変わっていて、大人っぽく美しく成長していた。「あー。∀さんの絵に囲まれて歌えるなんて嬉しい!徳島で実現できたらと思ってたけど、まさか東京でそれが叶うなんて」と、とても喜んでくれた彼女。純真無垢な心から紡ぎ出される、その歌声に会場の誰もがハッとさせられたようだった。この日もう1人の出演者「junnos」も、クロージングパーティーの出演者「バゼルバジョン」も相当カッコよかった。この2組を合わせてきたajitoのキャプテン「U2」。元ミュージシャンだったこともあり、音にはかなり厳しい耳を持っているので流石だと思った。ご機嫌な音を聞いてますますご満悦のDJ NOBUYA。そんな中ajitoのスタッフはみな一生懸命に働いていた。彼らが「∀さんの絵の中で仕事ができたことが楽しかったです!」と言ってくれた時、U2からの申し出を受け入れて本当に良かったと思った。そんなU2やajitoと私達を繋げてくれたのがU2の彼女でありajitoのスタッフでもある「sora」だ。10年前から絵のファンでいてくれたというsora。彼女もまたピュアで繊細な心の持ち主。クロージングパーティーの前日、U2から電話がかかってきた。「実はsoraの誕生日が今日なんですけど、明日のパーティーで∀さんからsoraへのメッセージを何か言ってもらえたら、彼女すっげー喜ぶと思うんでどうかよろしくお願いします。これはサプライズなんで!」「了解!」仰せの通り、当日のポエトリーリーディングの中でsoraへの詩を捧げたのだが、キッチンから顔を出したsoraの驚きと満面の笑みを見てU2はとても満足そうだった。やはり愛に勝るものはない。この日は、たまたま地域のお祭りで神輿が出ることになっていたのも驚かされた。その神輿がなんとajitoの目の前の建物に鎮座していたのだ。そこから出発して町を練り歩き再び戻ってくるというものだった。「僕も今日そのことを知ってビックリしたんですよ。まさか目の前から神輿が出てくるなんて、めでたいっすよねー」まさしく、我らのパーティーの騒ぎも気にならないほど地域の人々も大興奮していて、みんなが祭りの渦の中にひとつになっていた。神輿が出てきた時は、そのエネルギーの凄さに思わず店を出て、無心のまましばらくついて行ってしまったほどだ。そんな祭り騒ぎでajitoでの個展を終えて、翌日がいよいよ大屋での個展の最終日となった。「明日、最終日なんで僕また大屋に行きますね!」U2が言った。大屋での最終日。「今日はね、お祭りがあるのよ」まゆみさんがニコニコ顔で言ってきた。「そっかぁー。今は祭りのシーズンでもあるんだなぁ。昨日といい今日といい、祭りで個展をしめることができるなんてラッキー」私は思わず嬉しくなった。最終日なのでNOBUYAもnociwもやってきて、やがてU2も現れた。「いやー。昨日はヤバかったっすね。いきなり祭りですもんね」「それがさ、今日はこっちが祭りらしいよ」「えっ。マジっすか?」その時、大屋の電話が鳴った。「はいはい。わかりました。じゃ、お待ちしてまーす」と、まゆみさん。「あのね、これからnociwを見に神輿がここにやってくるそうよ」「えっー!!」間もなく本当にやってきた神輿が目の前いっぱいに広がり、大屋を目がけて入ってきた。「す、すっげーっ!」昨日と同じメンツで昨日と同じ光景を目にしていた私達。何か強烈なデジャブに遭遇しているような気分だった。すると、中にいたまゆみさんが表にさっそうと飛び出して神輿を担ぎ出した。ハッピ姿の粋なきむにーも傍らで笑っている。「ホントにジブリみたい…」ただただそのエネルギーに圧倒されていたら、いつの間にかまゆみさんに手招きされ、気づくと私も初めての神輿を担いでいた。いや、担がせてもらっていた。本当に人生、いつ何がおこるかわからないものだなと思い、そんな自分が可笑しかった。こんな個展の最終日も初めて。実に天晴れだった。(笑)このあと、阿蘇、屋久島、四国へとDJ NOBUYAと nociwとともにアートジプシーの旅に出ます。新作の「I Love nociw」シリーズの絵も一緒なので個展会場やアートショウ会場でお目にかかれるかもしれません。この2011年に、まだまだ絵と音を通して沢山の出会いが待っているのだなと思うと心躍ります。ありがとう。愛をこめて。
 
_ 2011.09.12_>>>_満月

「The beginning」いよいよ個展が始まる。怒濤の9月になりそうだ。西荻窪にオープンしたギャラリー「ajito」と日野のギャラリー「大屋」。偶然、どちらも家に関係する名前だったのが、ふとおもしろいと思った。ajitoでのセッティングを終えて、やっぱり出会いって、縁って不思議だなーとしみじみ感じている。ajitoのスタッフ連中はそれぞれに皆個性的で、今まで私やNOBUYAの周りにはいなかったタイプだ。でも魂は私達の周りの仲間達同様、本当にあたたかな、地球レベルの価値観で生きている人達ばかり。搬入当日、ギャラリーがきれいに磨きあげられ清められていたことに感謝した。親身になって手伝ってくれた作業の後には、とびっきりのおいしい手づくりご飯。車座になってワイワイとやりながらの食事は実に楽しいものだ。まだ出会って間もないのに家族同然に接してくれるみんなを、そんなajitoを私は大好きになった。「凄い!いきなりギャラリーっぽくなったねー」「ほんと!いい感じー」みんなも展示をとても喜んでくれている。元ディスコクイーンだったという店舗の大屋さんも現れた。「まぁーっ。素敵!ごめんなさいねこんな恰好で。始まったらもっときれいにして来るから!」「いやーっ。ajitoの始まりが∀さんでホントよかったっす。ここをホームとしてこれからも使ってやってください!」キャプテンのU2はそう言ってくれた。ありがとう。「すべての人が自分なりにHAPPYになる為の道を持って生まれてくるはず。そんなHAPPYを手伝うことから自分のHAPPYも始まっていく。そう信じて仲間達とajitoを創っていきたい」という彼。今、何かをクリエイトしていて、これから自分を表現していこうと思っている人がいたら、U2と出会いにajitoへ出かけてみるのもいいかもしれない。きっと新しい扉をノックすることになるだろう。私にとっても「初心忘れるべからず」という大切な気持ちを思い起こさせてくれたajitoでの第1回目の個展。オープニングとクロージングのパーティーもとても楽しみだ。DJ NOBUYAもはりきっているしね。大屋は築130年の米蔵が改装されたギャラリー&カフェ。酒蔵と同じく神聖なお米がずっと座っていた場所だから気がとてもいい。店内の梁なども昔のままなのでいい味でているし。オーナーのまゆみさんはティーコーディネーターだから紅茶がおいしいくて、コーヒーの飲めない私には嬉しかった。いつもニコニコ優しい目をした旦那様は元PAと照明をやっていたそう。ここのご夫婦は本当に自分たちの好きな事を、思いっきり楽しみながらやって生きているといった感じで実に幸せそうなのだ。幸せそうな夫婦というのは、安心感がある。こんな2人に見守られながらの個展だから楽しくなるだろうな。ここで個展を開催することになったのは2人が我が家のオオカミ犬「nociw」を気に入ってくれたことも大きかったが、高尾仲間のアーティスト「Ague」が昨年、この大屋でアイヌの木彫作家「藤戸幸夫」さんと2人展をやったので見に行った時、会うなりすぐに「∀さんもここで絶対やった方がいいよ。いや、ほんといいから!」と言ってきて、幸夫さんまでもが「もう日にち決めて帰った方がいいんじゃない?ねっ!」と念を押してきたので「きっとこれは彼らの背後にいる方々が積極的に勧めてきているんじゃないか?」とも感じて素直に受け入れたのだった。2人が強く勧めてくれた理由はきっとこのご夫婦の人柄にもあるんだろうな。すぐ近くにある八坂神社のお祭りをこよなく愛している2人。お祭りの話をする時、いつも目がキラキラと輝いているのが印象的だ。この大屋では新作を発表する。愛犬nociwを描いた「I Love nociw」展。もうホントそのまんま「nociw大好き!」という思いを、ただただストレートに絵に表現した今回の新作。まったく親バカ以外の何者でもないけど、nociwと一緒にいる時にハートの奥からこんこんと湧いてくる愛が、私に彼女を描せてしまった。そんな愛をぜひ感じに来てください。大いなる始まりの時にいる。今まさにそんな予感。
 
_ 2011.08.14_>>>_満月

「出会い」先日、高尾の近くのアーティスト達が暮らす町、藤野町で開催された芸術祭「ひかり祭り」に初めて呼ばれて参加した。NOBUYAはDJで、私はARTで。夫婦で祭りに参加したのは初めてのことだったので記念すべきスタートとなった。ひかり祭り自体は今年で8年目だったようだが、昨年から実行委員が初期のメンバーから次世代の若手にバトンタッチされたらしく、ありがたくもその若手のスタッフ達からお呼びがかかったのだ。初めての試みとして電力は100%自家発電でまかなうと聞いて、どうなるんだろうとワクワクした。「途中で電力が足りなくなるのでは?」とのスタッフ達の心配をよそに、最後までまだまだ充分余っていたようで、彼らも「やればできるんだ!」という自信に満ちたいい顔をしていた。会場は廃校になった小学校。私の展示スペースはDJスペースでもあり、案内された教室は昨年「サヨコオトナラ」のニューアルバム「トキソラ」のレコーディングに「遊びにおいでよ!」と誘われてお邪魔した教室だった。あの時の和気あいあいとしたレコーディング風景が思い出されて、なんだか懐かしかった。その同じ部屋がダンスフロアや、ライブ会場と化していた。1年に1度の大人の夢の教室だった。物販ブースは学校裏の森の中。スタッフのhakaが「この樹の下なんてどうかな?唯一地面が平だし、入り口って感じで∀にぴったりだと思うけど」と、すすめられるままお言葉に甘えてその場所にお店を出すことに決めた。キャンプサイトはまたその奥でそこは山の斜面で全部が斜めになっていたのでNOBUYAは「自分の寝場所は自分で作る!」と、土地を平に開墾するところから始めていった。3日間テント生活をしながらの祭り参加。夜はローソクの明かりだけで、森に調和した本当の暗さを味わうことができておもしろかった。我が家のオオカミ犬「nociw」はといえば、森の物販スペースには他に犬もいなかったので自由にさせていた。大抵いつ見ても私のブースの樹の下に寝ている印象だったので、ずっとそこにいるもんだろうとばかり思っていたら、お客さんに「あぁこの犬、下のグランドの受付の前でいらっしゃい!って感じでみんなを迎えてくれてましたよー」と聞いてびっくり。他にも色んなブースに立ち寄っては自分の寝場所を見つけて、くつろいでいたようなのである。最後の日のトリでライブをつとめた「システムセブン」私達は懐かしく、かつてのゴアを思い出しながらステージは見えない端っこの方でガンガンに踊りまくっていたのだが、終了後仲間達から「nociwがおもしろかったよねー」と聞いてまたまたびっくり!nociwはなんと会場が踊りの渦に酔っているその時、ステージにさっそうと姿を現し、余裕の表情で歩き回ったり、座ったりしていたのだという。同じ瞬間を、お互い楽しんでいたんだなと思うとおかしかった。ラビラビの「あづみ」と「ナナ」がブースにやってきた。彼らはグラウンドに設置されたメインステージでのライブのトップバッターだった。「∀さんっ。やっと会えました。会いたかったです!」と笑顔で声をかけてくれたあづみ。お互い存在を知ってはいたが、どうやらこのタイミングで本当に出会うことになっていたようだ。「私、∀さんを知ったのはウォーターグリーンっていうイベントで…」そうだ。私もあの時、初めてラビラビを聞いたのだった。「縄文トランス」って響きがいいねーと思ったし、芝生の上で気持ちよく踊らせてもらったっけ。ナナは、この日初めてデビューした新しいグッズの、オオカミのガラスのペーパーウエイトを手にしてずっと空を見上げていた。後で彼女が「これ聞いてください!」とラビラビのニューアルバムをくれたので「じゃあ物物交換にしようよ!」って言ってそのペーパーウェイトをあげたら本当に飛び上がって喜んでくれた。素敵な人達だなと思った。後日あづみがメールで「ラビラビと∀さんとの間には色んな共通項があるような気がしてなりません…」と送ってきてくれたが、私も実に同感だよ。6月に開催したアトリエ展で、2度目の再会をして初めてちゃんと話をしてつながった「U2」彼がプロデュースしているお店「マミランド」も出店することになり、そこのオーナーの「マミ」さんを連れてきてくれた。「ぜひ、うちでも個展をやってください!」マミさんは親切にそう言ってくださった。U2に出会ってから彼が更なる出会いを運んできてくれるようになった。そもそもはU2の彼女の「ソラ」が10年前から私の絵のファンになってくれていたらしく、昨年2人が出会ってU2が私を知るようになったとのこと。2011年の年頭には「今年じゅうにオレは絶対に∀さんとつながる!」とソラに誓ったそうだ。すべては愛するソラのためでもあっただろうが、私とNOBUYAはこの出会いにとても感謝している。彼は9月に西荻に「ajito」というギャラリーをオープンさせる。そのオープニングの展示を引き受けることになった。ソラも絵を描いているので「一緒にできたらおもしろいね」と話しているところだ。19日には四国は神山からデビューした友人のシンガーソングライター「愛」がこの会場でライブを行う予定だ。9月21日から10月2日までは新作親バカ展「I Love nociw」が日野で開催される。23日にはタテタカコがライブで登場することになっている。西荻窪と日野、中央線1本でつながっている会場。2つの個展をぜひハシゴしながら楽しんでほしいな。出会いは自分を変えていく。かたくなだったものを手放した時、色んな世界がつながってくる。
 
_ 2011.07.15_>>>_満月

「旅立ち」アトリエ展が終わって引っ越しのただ中にいる。1ヶ月の個展開催は長いようであっという間でもあった。次から次へ訪れて来てくれる人々との出会いに、ただただ感謝しながら過ごす日々でもあった。
お腹の中にいる命から0歳児、もうすぐ100歳になるという大先輩まであらゆる世代がこのアトリエに足を踏み入れてくれた。今まで籠りっきりでひたすら制作に励んできたアトリエに、これほど多くの人達がいることを想像したことはなく、毎日がまるで夢のような光景だった。笑う人、泣く人、眠る人、絵を描く人。別々に来てここで知り合い話に花を咲かせている人。「ここで出会うと初めてでも、すぐに深い話ができるから不思議」と言っていた人がいた。「何度も訪れてしまうのは、ここがまるで子宮の中にいるように落ち着くから」そう言ってくれた男性や女性。みんなが言葉ではなくこの空間に身を置き、絵を見ることによってそういう感覚を抱いてくれたことに私は感動していた。「とにかく帰ってすぐに絵を描きたい!こんな気持ちは久しぶりです」絵を描くことが好きだったという多くの人達が口々にそう言っていたのも絵描きとして本当に嬉しかった。近くに「駒木野病院」という精神科の病院があって、そこのスタッフの方が来た時にとても感動してくれて「患者さん方を散歩に連れて行く時にここに寄らせてもらえませんか?」と聞かれたので「ぜひ!」と答えたらそれから寄ってくれるようになって、いつもオープンして一番のお客さんとなっていたので彼らが来た時は「うわーっ。今日も神樣方がいらっしゃった!」と嬉しくなったりした。「実は患者さんの中には絵を描く人が多いんです」と聞いて「なるほどー」と頷く部分が多かったのだ。一人一人がそれぞれの仕草で夢中に絵にハマっていて、その光景だけで絵になるような、まるで映画のワンシーンのような微笑ましさがあった。「ここはいやされるなー。この絵好きだな。またここに来たいな」ある患者さんがメッセージをノートに残していた。結婚したての若い夫婦が、アトリエ展を見てから結婚指輪を買いに行く予定でいたのに「指輪ではなく絵にしよう。生涯の思い出に!」と2人の意見が一致して結婚記念絵にしてしまった。信じられなかった。普通は特に女の子だったら指輪の方が欲しい!と思うのではないのか?まったく今時の若者達は素晴らしすぎる。自分たちの価値観でちゃんと生きているのだ。アトリエで婚姻届けに証人としてNOBUYAと2人で署名捺印をする幸せな儀式もあった。出産を翌週に控えた妊婦さんに、たまたま訪れていたディジュリドゥー奏者が「この部屋はただごとではない」と多くの人が言っていた「RED DATA ANIMALS」の間でお腹の子に地球の響きを届けるという儀式も突然行われた。偶然に居合わせた人々が母親と子宮の中の子を取り囲み出産の無事を祈り誕生の時を祝福した。子供は地球の宝物。そんな意識が自然に広がりそこは神聖な場と化していた。最終日の天気は今でも忘れられない。最初は雨。それも半端じゃない土砂降りの雨。窓を全開にしたアトリエはまるで滝の内側にいるような清浄な世界だった。そして雷。それも半端じゃないスケールのドラムのオーケストラ。それでもお客さんはやって来た。全身ずぶ濡れになって。「いやーっ。浄化ですねー」「龍神様が来てますねー」そんな状況さえも楽しんでいるようだった。それが次第に雨があがり、まさかの青空が現れた。神々しいほどの眩しい光。美し過ぎるほどの夕焼け。「うわーっ!」みんな庭に出て自然界のドラマに酔いしれた。最後にふさわしい空を神様は見せてくれたのだった。それまでも「なんかここ、居心地が良くて根が生えたみたい」と、長居するお客さんが多かったが、この日は最終日とあってクローズ時間になっても人の波はいっこうに収まる気配はなかった。「なんでこんな素敵なアトリエがなくなっちゃうんですか?ここ大好きです!」と皆、口々に名残惜しんでくれていた。アトリエも嬉しかっただろうな。これだけたくさんの人々に喜ばれて。最後に個展を開催して本当によかったと、心からそう思った。お休み処に使わせてもらっていた家に、前に住んでいた「藤原のお母さん」がやってきた。「あっこさん、今日で最終日ね。おつかれさま。これみんなで食べて」大皿に盛られた美味しそうな料理たち。きっと朝から準備をしていたに違いない。そこにはなんとお赤飯まであった。「だってめでたい旅立ちじゃない」お母さんの愛が伝わってきて、とめどなく涙があふれてきた。「ここから居なくなっても高尾にはいるのよね?絵が見たくなったら連絡するからね」今回の個展にお母さんはたくさんの近所の友達を連れてきてくれていた。こんなに暖かい近所づきあいは東京に出て来て初めてだ。高尾のシャイで優しい人達に私は見守られてきたのだった。夜は更けもうすぐ日付けが変わろうとしていた。最後にここでみんなと踊った。自分が何者かなんて忘れて、ひたすら子供のように無邪気に踊った。言葉はいらず、輪になって夢中で踊っているだけで、みんなとひとつになった。楽しくて楽しくて笑い声がアトリエに溶けていった。「この建物はなくなっても、このエネルギーは永遠にここに残るでしょう」お客さんの1人が言った。ありがとうアトリエ。おつかれさまでした。
 
_ 2011.06.16_>>>_満月

「砂曼荼羅」アトリエ展が始まった。毎日ワクワクしながら過ごす日々が続いている。辿りついた人々は言う。「いやーほんと、気持ちのいい所にありますねー。」思わず靴下を脱ぐ人もいる。旧甲州街道から1本わき道を入った、時折甲府方面へ走る中央線の音が聞こえる田舎の風景。「でも、ここも東京なんですよね。」「そうなんです。」みんなはまずホッとして、荷物をおろし、深呼吸をしてそれからゆっくりと作品を見ていく。「うわぁーっ!」創作の場だったこのアトリエで初めて開く個展は、ここで生まれた作品達も喜んでいるように見える。そして何よりアトリエ自体がとても嬉しそうだ。お客さんの登場の仕方も、歩いてくる人、バスで来る人、1週間後赤ちゃんが生まれるというお腹でタクシーで駆けつけてくれた妊婦さんや、高尾山をひと登りしてから爽やかな笑顔で現れる人など実に様々。年齢も世代もジャンルも超えたあらゆるタイプの人々がやってきているのも、ここ高尾の土地柄だろうか?自分の生活と創作の場である今の地元で、こんなにリラックスしながら個展ができるなんて本当に夢のようである。この感覚は、かつて私が2000年から2004年にやっていたギャラリー「nociw」でおこなっていた個展の感覚にとても近い。やはり自分の場所で、何の制約もなく自由に気ままに表現できるというのはアーティストにとっては最高だなと実感する。ギャラリー時代にも庭にストーンサークルがあったが、このアトリエでもつい作ってしまった。ここはいつの時も子供達の恰好の遊び場である。今回の個展は初めてのアトリエ展ということもあって、初期の未発表作品も結構あり、ファンの人達にとっても新鮮だったようで「1回ではとても見切れないです。それにここは気持ちがいいし。」とリピーターが多いのも嬉しいことだ。アトリエの隣の家は「ハスの間」というお休み処にしていて、高尾の湧き水も自由に飲めるようになっているので、次に来る人はちゃんとおやつやお弁当なんかを持参してきている。「ハスの間」では自由にお絵描きもできるようになってる。子供と大人がひとつテーブルでお絵描きを楽しんでる様は見ていて実に幸せな気分になるものだ。ゆうべ仕事で徹夜で寝ないでそのまま個展にやって来たという人は「あーっ。気持ちいいー。」と、ここでしばらく睡眠をとっていた。色んな人達がこの場でつながってくれたら嬉しいなと思っている。毎日どんな出会いが起こるかわからない。それが個展の醍醐味であり、面白さだ。でも日々実感しているのは、私はこの出会いに生かされているということ。見回せば私達が高尾に越してきた7年の間に、たくさんの仲間達が集まってきた。とくに私達の身近にいる家族のような仲間達には助けられることが多く、感謝の念に耐えない。今回もたくさんの出会いををこの個展にもたらしてくれている。そして、こんなお山の麓まではるばるやって来てくれるお客さん達。そんな彼らに「やっぱり来てよかったです。言葉では表せないものを受け取りました!」と言われた時、そんな感覚を味わってもらえたことが何より嬉しいと思う。この満月を境に個展も後半に入るが、これからが益々楽しみになってきた。来月アトリエを出た後は、この建物自体がこの世界から消えてなくなるのだなーと思うと感慨深いものがあるが、それもまた砂曼荼羅のように次の世界へつながっていくことを想うとすべてが愛おしく思えてくる。そんな時を、訪れたみんなと一緒に過ごせることに幸せを感じる毎日だ。今日も「ありがとう!」感謝しています。
 
_ 2011.05.17_>>>_満月

「アトリエ展」6月から始まるアトリエ展の準備にバタバタの日々が続いている。7月に取り壊わされることになっているので、引っ越しも兼ねてとなると結構整理も重要になり思ったよりも時間がかかっているのだ。新しいアトリエは中々いい物件が見つからず、当面は隣に住む「タケオ」の部屋の一室を借りて創作活動をすることになった。思い立ったらすぐに制作ができるという点ではすごく楽になるが、広さは今のアトリエに比べるとぐっと狭く、これからはNOBUYAのDJとしての音楽スタジオも兼ねることになるので、無駄なものは今以上に省きながら頭を使ってスペースを有効に使わなければならないというのが目下の課題だ。でもやっぱり、これからがとても楽しみである。そしてその前にこの大好きだったアトリエで個展をやれるということ。そのことを今、最高に幸せに感じている自分がいる。高尾の仲間達からは「∀のアトリエで個展をやったらいいのに!」という声はあったが、まさかこういう形でそれが現実になるとは思ってもみなかった。アーチストである私のことを気に入って、この物件を貸してくれた先代の大家さんからは「こんなボロボロでも自分たちで直して住んでくれるなら嬉しいよ。せっかくだから、どうかひとつ長く住んでほしい。」と言われていたからだ。亡くなってからもう何年になっただろう…。アトリエの前に、同じようなボロ家がもう一件ある。同じ大家さんだ。そこに住んでいた素敵な藤原家の人々は先に三件隣に引っ越していった。大家さんにお願いして個展開催中の一ヶ月間、その空き家を使わせてもらえることになった。が、開けてびっくり!居間以外の部屋はすべて床が陥没していたのだった。以前から藤原家の人々はすごい!と感じていたがやはり彼らは本物だった。その唯一無事だった部屋は来てくれたお客さん達のお休み処にしようと思う。アトリエ展の情報を聞きつけて、またもや屋久島から仲間達も上陸してくるとのこと。ここ高尾から先日屋久島に移り住んだ仲間の「Dai」ファミリーや、現在屋久島に車で旅行中の高尾の仲間「ヤーマン」「taba」「舞」など。本当に屋久島と高尾は今、急速な勢いで結ばれてきている。私には森がそれを促しているような気がしてならないのだが。とにかく、6月1日に幕が開くアトリエ展。本当にこの場所の最後にぴったりの終わり方だなとつくづく思っている。アトリエも喜んでくれているに違いない。それにしてもいったい、こんなお山のふもとに、どこからどんな人々がやってくるんだろうか?出会いは不思議だ。きっと1ヶ月後の6月30日には、そのエネルギーからの答えを受け取っているんだろうな。でもまずは今やるべきこと、準備に集中して精を出そうと思う。この計り知れないほどの、ワクワクとした気持ちを携えながら。感謝とともに。アトリエでお待ちしています。
 
_ 2011.04.18_>>>_満月

「あきつしま」


いにしえの

やまとのくには あきつしま

うちなる ちから たずさえて

あちら こちらで おつながり

ひとびと みなも

よを うつすなり


いにしえの

やまとのくには あきつしま

さらなる ちえを たずさえて

あちら こちらで おつながり

ひとびと こころ 

ちに そわせけり


いにしえの

やまとのくには あきつしま

ゆたかな みのり たずさえて

あちら こちらで おつながり

ひとびと わらい

てを あわせたり
 
_ 2011.03.20_>>>_満月

「ことだま」いづこの かなたよも いはせぬるみなそら うみなれどはねる まわるいのちが もとくにせの ことあらん

とも すれぞよの きわにたち いでることことばの ありがたきたまによる このしまなりかりずまわれたてのくち よこのいまをかわりなく いくことよおもい ねがわん

それとて こそのはなれ いずれぞおまつりの わのみたまを おろしひのなる ほうへとまず あゆみける
 
_ 2011.02.18_>>>_満月

「パチャママ」


もしも今 おまえが 踊れないのなら 

笛を吹き 太鼓を鳴らしてみるといい

その体は 宇宙の器

地に根をおろし 天とつながる

尊い器


日々の神聖さに 気づかぬふりを してちゃいけない

けなげにも お前の魂は

その光を 失うことなく

影にもたれ うち震えていた


さあ

もう いいよ

もう なにも

恐れなくて いいんだ
 
_ 2011.01.21_>>>_満月

「ミラクル」

この空からの眺めに 境界はない
国の違いも 信仰の違いも そして種の違いさえも

この空からの眺めに 境界はない
命の種が 命の花を咲かせ 命の果実を実らせているだけ
この空の自由さを 分かち合い
愛し合うことができた時 奇跡が起こるかもしれないと きみが言った
この海からの眺めに 境界はない
国の違いも 信仰の違いも そして種の違いさえも
この海からの眺めに 境界はない
命のリンが 命のアワを咲かせ  命の音を響かせているだけ
この海の自由さを 分かち合い
許し合うことができた時
奇跡は起こるかもしれないと きみが言った