いのちの樹の春

3月と4月に開催となる個展の絶賛準備中である。

今年もまたやってくる「アサバアートスクエア」では「wor un nociw」というテーマで個展を開催する。これはアイヌ語で「水の星」という意味で、2004年に発売した絵本のタイトルでもある。水の星とはつまり地球のことで、NOBUYAと2人で通った森での、ある日のできごとを、イマジネーションの中にやってきた、この森に暮らす鹿のyukと風の精霊reraを主人公に描いたものだ。狼犬DONの母親であるnociwが死んだとき「あぁ、これからnociwはyukとreraの世界の住人になるんだ」と、ふと思い立ちこの絵の世界に登場させ、そしてDONが死んだときには「これでDONもyukとreraとnociwの仲間入りだなぁ」と自然に思い、当然ながら新作のシリーズの中に登場させた。相変わらず、こちらとあちらが行き来する世界のワクワクを楽しみながら生きることができて、本当に感謝だ。

先日嬉しいことがあった。昨年の個展で初めて私の絵と出会い、ファンになってくれた中学生の男の子のお母様が「高校受験をひかえて頑張っている息子の誕生日プレゼントに、息子が好きな∀さんの画集を贈りたいのです」と、連絡をくださったのだ。「一番ほしがっていたものは、お金を貯めて買いたいと言っていたので、楽しみはとっておくことにします」という、なんとも心まる素敵な親子。そして誕生日の日にお母様からプレゼントを貰った息子さんは「僕の誕生日に∀さんの画集を選ぶなんて、さすが僕のお母さんだなぁ~!」と、とても喜んでくれ「これを励みに頑張るぞ!」と机の上に早速飾ってくれたそうなのだ。なんだか、その光景を想像しただけで、私も胸が熱くなり幸せな気分になったのだった。

そして、人生初の新しい試みとして、私が暮らす街に新しくできた素敵なデイサービスの介護施設の理事長からのご依頼で「ここを訪れる利用者さんにカルチャー教室みたいなものができないでしょうか?」とのご相談を受け、私ができることで今思いつくのは、アサバの個展期間中にも随時開催している「ぬりえART JOURNEY」だったので、それを実験的に、先日おこなってきた。これは私の描いたシンプルなラインの絵から好きなものを選んで、自由に色を塗るというもので、今までにも個展で多くの方々に参加していただいて、世代も性別も人種も越えて、みんなが自分自身と繋がって、いきいきキラキラ輝いてる場に立ち会うという幸運な機会があったが、今回は母と同世代の方々と、アートを通じて交流できたことがとても嬉しかった。終わった直後に理事長がやってきて「あ~っ間に合わなかったかぁ~」と残念がっていたが、机の上に広げられた個々の仕上がったぬり絵に「え~っ!何でこんなに違うの!一人一人の個性が浮き出ていて凄い!」と感動していた。「普段から市販の塗り絵を置いていますが、それとはまったくの別物ですよね。これはもう作品です!」と。初めてお会いした、普段の私では関わることのない世界の方から、こんなにも感じてもらい、理解してもらえたことが本当に嬉しくて感動の涙を流した日だった。

感動といえば、友人が誕生日祝いを兼ねたアートショーを開催してくれて、参加してくださった皆さんにお祝いされながら、ケーキのロウソクを吹き消すという、まるで夢のような時間も、宇宙からのビッグプレゼントだった。そういえばこの時も涙を流したっけ…笑。みなさん、ありがとうございました。

アサバの個展期間中にはイベントの開催もあり、そのひとつに「みんなで描くいのちの樹」というものがあります。これは私の描いた「いのちの樹」のアウトラインをベースに、内でも外でも、どんな色を塗っても、何かを描き足しても、言葉を書いても、まったくの自由というスタイルでそれぞれが、クリエイトしていくという「いのち」の創造の時間です。昨年は4才から80才くらいまでの参加者がいらっしゃり、親子やカップルや友達同士、おばあちゃんと孫、などなど世代も性別も越えて、みんなで共鳴し合いながらそれぞれの魂のアートの世界へ没頭しました。絵は4枚に分けられ、4つのテーブルに置かれ、それぞれが描いたものを、最後にひとつに縫い合わせて1本の「いのちの樹」が誕生します。毎回テーマは「いのちの樹」です。でも、毎回違う「いのちの樹」です。4枚を縫い合わせ完成した絵を見た時のみんなの輝きといったら、もの凄い歓喜のエネルギーに満ちていて本当に感動します。私の夢のひとつは世界中で描かれた「いのちの樹」の展覧会が、やがてこの地球上で開催される日がくることです。興味のあるかたはぜひご参加ください。お待ちしています。

今年もアサバのファミリーに会えることを楽しみに!