「風の知恵」

制作にあまりにも夢中になっていたせいで、右手親指の第一関節を痛めてしまった。早々にストップ!サインである。

「おいおい、オレがいなくても1人でちゃんと体のこと考えながら絵描けアホ!」と、まるでNOBUYAの声が聞こえてきそうだ(笑)。本当に今までは彼が色んな症状に対して、すぐに自然療法で手当をしてくれた。琵琶の葉湿布や里芋湿布、こんにゃく湿布などなど…。NOBUYAがいた時は完全に甘えで、そうやって手当てしてもらうことが、なんだか子供に帰ったように嬉しかった。きっと大切にされている気分になれたからかもしれない(笑)。でも今は1人で手当するしかない。幸い、いつもやり方を見ていたので初めてでもちゃんとできるのだった。そうしてドンとの本気の追いかけっこでぶつかってできた足の大きいアザや腫れが、どんどん治癒していくのを体験するのは感動的だ。だから今回も気長に親指に話しかけながら彼がしてくれたように毎晩、琵琶の葉湿布をして眠りについた。そうしてどんどん回復にむかっているのが何よりもありがたい。。描けないとなるとなおさら描きたい衝動に駆られるものだ。でも手首を痛めた時の苦い経験がある。そこはグっとこらえて心と体のバランスを取るレッスンを今しているところだ。。「オマエ、子供じゃないんだからさー」といつもNOBUYAに言われていたことを思い出す(笑)。完全に痛みが消えたらまた微笑みをもって、今度はゆっくりと描きはじめることにしよう。

朝の散歩でいつもお会いする80代の女性がいる。今までは「おはようございます!」と挨拶しても、まるで彼女にはドンしか見えてないかのように、ドンにだけ「あなたいい子ねー。ほんとお利口さんねー。」と決まって同じセリフで話しかけ去って行っていた。ところが6月27日の朝、いつものように挨拶をすると彼女が初めて私を見たのだ。そして「素敵な奥様とわんちゃんがいて旦那様も本当に幸せねー!」と思いもよらぬ言葉を帰してきたのである。私にとってこの瞬間は鳥肌もので(ちゃんと会話ができるんだ!という驚きも含め)一瞬ギョッとした。27日はNOBUYAの月命日でもあり、この日の朝も出かける時に彼の祭壇(笑)の写真に話しかけてきたところだっだ。「今日は10回目の月命日だね。早いねー」と。その方に事の成り行きをお話すると「あら、まーっ。そうだったの!」とビックリされていたが「でもあれよ、あなた。お宅の旦那様は目には見えないけれど、ちゃんと、もっと大きなところからこうして見守ってるわね!」と、両手を広げ下界を見下ろす神のようなポーズを取りながら真っすぐに私の目を見たのだった。数ヶ月もの間、毎朝のように会っていた人と本当に同一人物だろうかと思うほどに驚いた出来事だった。

思うにやはり、NOBUYAの仕業のような気がしてならないのである(笑)。ありがと。

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