「星」

EXHIBITION 「plants wind」は新たな出会いを感じる日々だった。

オープン2周年を迎えた開催場所の植物店「KOHO」の小さな小さなスペースで、オーナー夫妻の「ともお」と「みお」と過ごすひとときは私にとってとても貴重な贈り物だった。主催してくれた2人には心から感謝している。ここが「HERB&GARDEN」のお店として地域の人々に愛されているのもうなずけた。植物好きの人々はやはりどこか共通していて、男性も女性も穏やかで素敵な人が多いということにも気づいた。そんなKOHOの常連のお客様で森の水の音のCD付き絵本「wor un nociw 水の星」を購入してくれた、やはり素敵な女性の方がいた。個展スタート早々に購入してくれてから何度も私が在店の日には顔を出してくれて、最終日には「おつかれさまでした」とわざわざ声をかけにきてくれたほどだった。その方は目が悪いそうで物をハッキリとは見ることができないそうなのだが「水の音を聴きながら毎日絵本のページをめくるのが楽しくて…すると不思議なんですがいつの間にか目の疲れが自然に癒えているんです。」といってくださった。「絵が目の中にふわぁーっと入ってきて気持ちがいいんですよね」と。私には彼女の目がとても印象的でこちらを向いているわけではないし、一度も目線を合わせてはいないのだが、その瞳に吸い込まれていきそうな感覚をおぼえていたのだった。そういう日々のちょっとしたことがここではとても新鮮だった。

そして個展終了の6日後には「nociw gallery」がある小さな小さなお山にて初のイベントが開催されることとなった。主催はオーガニック農業を営む「みつばち農場」。その代表である「艶子」がここを訪れた時に「こんな素敵な場所なら私イベントを企画したい」と言ったのがきっかけだった。彼女が長年農業をやってきたなかで体のケアの大切さをひしひしと感じ、自分のために始めた「ナーラーヨガ」。そのインストラクターの資格をこの春に取得し、これから畑ヨガも開催していこうとしているとのことだった。私とDONが暮らすこの山でそんなイベントが行われるということがまるで夢のようだった。いつもは2人きりでこの自然の中で人知れず楽しんでいた世界だったから…。そう決まると山頂に佇んでいたボロボロの東屋をきれいにしなきゃと思い、初めて掃除をした。艶子は草刈り機で周りに生い茂っている竹を刈っていった。東屋の隣には慰霊碑があるのでそこも掃除をしてちゃんと挨拶をする。私がいつも話しかけている桧の樹「MOTHER TREE」と岩の「ROCK」にもその旨を伝え、この日が喜びと安らぎの日になるようにと浄化し祈った。桜の樹々は時をちゃんと待っていてくれ、ヨガの最後にシャバーサナのポーズで皆が仰向けに寝転がったとたん、待ってましたといわんばかりに空から桜吹雪を降らせてくれた。

その美しかったことといったら….。

その翌日にはみごとにみんな葉桜となって散っていったのだった。こうしてこの場所はついに開かれたのだ。人との出会いの素晴らしさは、自分1人では思いもつかない発想で、いとも簡単にその場を変えていくことにもつながっていくことだ。神様が農業家という新しい友との出会いをお膳立てしてくれたようにも思えてくる。DONはこの山が自分の庭のようなものだから、イベント中も終止リラックスしっぱなしでマイペースだった(笑)。その日の夜、いつものように寝る前のトイレにDONと少し森を歩く。するとこの土地が喜んでいるようなエネルギーを感じてとても嬉しかった。MOTHER TREEにハグをして「ありがとう」と伝え、ROCKに寝そべって空の星を見上げた。「あー気持ちいいーっ!」ただただその心地よさにまどろみながら、しばしその幸せをDONと分かち合った。星々がよりいっそう輝いて見える。「今日もありがとう…」

NOBUYAが旅立ってから4度目の春がきました。