「旅の途上」

ツアーも終盤を迎え、あとは最後に奈良の奈良町資料館での個展開催を残すのみとなった。

巡った各地では様々な出来事や出会いがたくさんあり、喜びと感動の連続だった。我が家のオオカミ犬「ドン」が7年間過ごした屋久島での開催は彼の里帰りにもなり、元の飼い主さんやその子供達にも会うことができてドンにとって本当によかったなと思った。開催中はずっと親友である森の旅人「健太」と「奈央」の家にお世話になり、ドンも家に入らせてもらってご機嫌だった。何より彼にとって一番馴染みのある環境だからか、今回のツアーで一番リラックスしていたようだ。どこへ行っても人気者のドンは特に子供達にとってのアイドルだ。山口のフリースクールでは子供達に取り囲まれ、たくさんの小さな手に一斉にマッサージをされていた。

屋久島ではどういうわけか「∀の絵を見たり買ったりして飾っていると子宝に恵まれる!」という噂が流れているらしく、会場には「2年前に絵を買ったんですけど、お陰さまでこの子を授かりました」なんて言って来てくださる方が本当にいてビックリした!(笑)。まぁ噂が一人歩きしていることは別にしても、新しいいのちがこの地球上に誕生するということは素敵なことだ。フリースクールではお年玉の入った袋ごと家からわざわざ持って来てグッズを買ってくれた子がいたり「もしもお金があったならこの絵を全部欲しい!」と言ってくれる子がいたり、以前屋久島で開催した時に、やはり自分の貯めていたお年玉で原画を買ってくれた小学生が今回も個展に来てくれて「あの絵は私の宝物。どんな絵よりも一番大好き!」と言ってくれたりして、そんな子供達の言葉が純粋すぎて心の底から嬉しかった。そして彼らからまた勇気と自信をもらうことができた。「描いてきてよかった」そう思える最高の瞬間である。

だからツアーから帰ったら早く絵が描きたい。形となって現れようとしているスピリット達が今か今かと待機しているのを胸の奥に感じるから。でもその前に「ならまち」が控えている。このツアーの途中でオファーがきて急遽決まった開催地。これは偶然ではないだろう。出会いの予感がする…。楽しみだな。

ARTGYPSYの仲間NOBUYAとドン、出会ってくれる人達、そして目に見える存在と目に見えない存在に心から感謝して。ありがとう。