「リハビリ」

骨折、手術からひと月が経ち只今リハビリに励む毎日である。

すべてが初めての経験だったのでリハビリがこんなに大変なことだとは夢にも思わなかった。もっとすぐに腕が動くようになるとばかり思っていた。
抜糸後最初のリハビリは肘から手首までを動かしていたが、骨折からずっと固定したままだったので鉛のように重くて痛くて眠れない日々が続いた。
今は患部の腕を動かすリハビリに入り筋肉の痛みも上に移動している。その時から今までもずっと誰か彼かが我が家に滞在しながらドンの散歩や料理をしてヘルプしてくれている。
屋久島や北海道や千葉や三鷹や高尾や上野原からみんながやってくる。本当に感謝してもしきれないほどだ。更にはオイルマッサージやひまし油湿布や生姜湿布などなど….その人の直感で「これは!」と思う手当をしてくれる。そのお陰でパンパンだった腫れや紫色だった皮膚がどんどん癒されていった。

骨折後はじめて人前に出た上野原の「廃校芸術祭」では夏日の暑さもあって途中で具合が悪くなり、へとへとに疲れ切ってしまったのだが、そこで20年来の友人「百」に出会った。当初8才だった百は29才になっていて出会った頃の私の年齢になっていた。その百が私の腕を見てリハビリだけじゃなく人の手によるヒーリングも受けた方がいいと強く薦めた。そして片付けをして帰ろうとしていた時、百が後ろから叫んできたのだ。「∀~!待って、今∀のヒーリングをしてくれる人にお願いして了解をもらったからそれ受けてから帰って~」と。「1人は私のダンスの先生でフランス人のエマで、その前にもう1人宇宙からやってきたというカービーという人がぜひやらせてと言ってくれてるから2人続けて受けてってね」「えっ?フランス人と宇宙人?」と思いながらも、指定された樹の前に置かれた椅子に腰かけた。もう目を開けていられなくて閉じて待った。すると足音が近づいてきたのが聞こえ私の後ろでピタリと止まった。「宇宙から来ましたカービーです。ボクは体には触れないので安心してください」そして始まったヒーリング。「空に瞬く沢山の星と大きな樹が見えるよ。キミはこれらからエネルギーを貰っているようだけど何か心当たりはない?」私はいつも家の後ろの山に立っている森の樹にハグをして挨拶していることや、星が奇麗な夜は山の上に行きその樹に話しかけていることを伝えた。「やっぱりね。ということはキミはすでにそれらと繋がっているから、次はそのエネルギーを一旦ハートに入れ、それからそのエネルギーを痛いところにフッと持っていくと痛みが癒えるよ」それはとても具体的な方法でわかりやすかった。「それから寝る前に腕に話しかけてから寝るといい。この腕がすっかり良くなる頃にはキミはスーパーボディを手に入れているんだ。大丈夫大丈夫!」そして体には触れないと言っていたが、最も痛かった所にそっと手を置いてきた。あったかくって優しくって私は何とも言えない心地よさに包まれていた。「ありがとう」そう言って目をあけると彼は微笑みながら姿を消すところだった。「こんな人会場にいたっけ?」私は不思議に想いながら彼の姿を見送った。

「∀~どうだった?次はエマが体育館の中の白いテントの中で待ってるから!」私は半分夢見心地で中に入ると、エマはまるで子供のようなくったくのない笑顔で迎えてくれた。心が落ち着いた。チャクラをダウジングしたあと、瞑想状態に入りおもむろに彼女は話出した。「あなたは何度も何度も過去生においてアーティストでした。色んなジャンルの様々なスタイルの。絵描きだった時もあるわ。極彩色の絵を描いてた時も。それもものすごく鮮やかな…。あなたの最愛のパートナーNOBUYAとは突然の別れのように写っているかもしれないけど、これは2人が生まれる前から決めてきたことだと彼が言ってるわ。そして彼は今でも時折あなたのもとへとやって来ている。今回の骨折も意味があることね。あなたに伝えたいメッセージは、受け入れることと許すこと。頭では理解してるかもしれないけど、それをハートで心の底から感じてみて。あなたの体は生まれ変わろうとしている。この腕が癒えた時、素晴らしい第二の人生が待ち受けているでしょう。だから大丈夫大丈夫!」と言って彼女もまた、それまでは体に触れなかったのに最後に最も痛い所にそっと触れてきた。「受け入れること」と「許すこと」この2つの言葉がぐるぐると私の中で巡っていた。30分と聞いていた時間は気づくと一時間以上も経っていた。まるでここではないどこかに身を置いていたような感覚だった。エマありがとう。この2人から受けたヒーリングでその日の最後にはすっかり元気になり、私はこの芸術祭に参加して本当によかったと思った。みんなの愛をこんなにも受けて感じて生きる生活は今回の人生初の出来事のようだ。そして私はどんどん人間を好きになっている自分に気づく(笑)。言葉ではありがとうの一言になってしまうが、それ以上のこの思いを私もエネルギーで返していけたらと思う毎日である。

まずはリハビリをコツコツ頑張ろう。いつの日か愛するものたちに最高の表現をしていくために。