愛をこめて

先日、上野原で2日間に渡り開催されたトンネルアートフェス2025に初めて参加した。

2年前の初回はトンネルのみの開催だったそうだが、第2回目となる今回は、トンネルと、廃校になった小学校の校舎とグラウンド、体育館も会場となり、私は主催者の画家、清水愛子さんの計らいで「図工室」が与えられた。小学校の頃、科目で一番好きだったのが図工の時間だったので、私はとても嬉しかった。久しぶりに入った小学校の教室は「あー小学校ってこうだったよなぁ」と思わせる懐かしさがあった。教室を会場に作品を展示するということ自体が初めてのことだったので、ギャラリーとは違い、色々大変な部分もあったが、新鮮だった。だが、10年以上前に廃校になったままだったので、まずは大掃除から始めなければならなかったが…(笑)何の作品を展示しようかと考えたが、小学校だし、子供達に見てもらえたらいいなと思い、RED DATA ANIMALS(絶滅危惧種の動物達)のシリーズを選ぶことにした。自分の個展とは違い、私の絵を初めて見る方達の方が圧倒的に多く、様々な反応があり、それがとても面白かった。お客様の中で一番熱心に作品を隅々まで見てくれていたのが中学生か高校生?と思われる男の子だった。一緒に来ていたお母さんに「この絵めっちゃ好きだな」と囁いていて、あれも欲しい、これも欲しいと言っていたが、自分のおこずかいで買いなさいと諭されたのか、迷いに迷った末、カードを数枚購入してくれた。今回もいつものように、お客様にメッセージなどを自由に残してもらうノートを入り口に置いていたのだが、あとで見てみると、たぶんその子だと思われるページがあり、そこにはDONをそっくりに描いた絵が描かれていた。それも、もの凄く丁寧に。きっと時間をかけて描いてくれたのだと思う。その絵の横には「いつか、お金を貯めて絵を買いにきます」と書かれてあった…。胸がキュンとなった。こういう時が、描き続けてきて本当に良かったと、心から思う瞬間である。オファーをくださった愛子さんや、作品と出会ってくださった皆様とのご縁に感謝した心温まる2日間だった。

5月の愛媛、6月の東京、7月の山梨と展示会が続いたので、自分へのご褒美に今、親友夫婦のKENTA&NAOの暮らす屋久島へ来ている。新月であり、時間を外した日に最も心許せる仲間と過ごすオフのひとときは、私の心と体に最大の安らぎを与えてくれる。そんな友の存在にも感謝しかない。ここで自分をリセットして、8月末は故郷の北海道余市にて7年振りとなる個展を企画していただいているので、万全の状態で迎えたいと思う。

みなさま、ほんとうに、ありがとうございます。愛をこめて。