愛媛県今治での初個展を終えて帰ってきた。
かつて新橋にあった常設ギャラリーで企画を担当してくれていた友人の「HARUNA」が、パートナーの「ガッテン」のいる今治へと引っ越して以来「いつの日か今治で∀の個展を…」とずっと願ってくれていた夢を、ついに叶えてくれたのだった。会場は昨年の夏に初めてHARUNAに会いに行った時に「ぜひとも会って欲しい」と紹介された「まさよ」さんの娘さんが営むギャラリーカフェ。その時にまさよさんから贈られたDONの人形を制作した「みどり」ちゃんにも再会することができた。DONのご縁で繋がったと感じた今治だったので、展示作品は「I LOVE DON」の親バカシリーズをメインにした。当然ながら、場所が変わると見え方も全く異なるもので、2階のギャラリーに展示したDONの絵達は初めて訪れる今治の地でとても嬉しそうにしていた。前回のI LOVE DON展の個展中に彼は旅立っていったので、作品達を久しぶりに見て、私自身もとても感慨深いものがあった。
今回の個展では一番最初と一番最後のお客様がとても印象的だった。一番最初の方は御年80才は越えているであろう、小さな小さなおばあさまで、作品を見るなり泣き崩れ「あぁーこの子は本当に幸せだったんですねー」とおっしゃってくださった。その後、会期中に何度も足を運んでくださり、菓子折りまで持ってきてくださって「お疲れでしょうから甘いものでも食べてね」と労ってくださった。それからも「DONちゃんが喜んでいます」「DONちゃんがありがとうって言ってます」とメッセージを伝えてくださる方々が次々に現れ、絵に感応して、歌い出したり、踊り出したり、四つん這いになって階段を登っていき、遠吠えを挙げる方までが現れたりして「さすがに四国は巫女体質の方が多いのだなー」と思った。(笑)
四国ではなぜか、愛媛県だけ個展を開催したことがなかったのだが、10年前にARTGYPSY TOURでNOBUYAと訪れた会場の「ビスタリ食堂」のオーナーとスタッフが、はるばる高知県から車を飛ばしてやってきてくれたことにも感動し、涙の再会を果たした。そして、南阿蘇や大阪や岐阜からも友人達が駆けつけてくれて感激の日々だった。HARUNAの家にお世話になり、ガッテンや猫のギンボーとの愉快な毎日、オーナーのまさよさんや旦那様の「ゆうき」さんにもとても良くしてもらい幸せな日々だった。今治の人々は本当に穏やかでとても優しい。そしてとても繊細だ。個展に来てくれた高校生の女の子「あこ」は穴の空くほど作品をじっくり見てくれて「感動しすぎて立ちくらみがしてきました…」と感想を述べてくれた。なんて愛おしいんだろう…。
HARUNAのお兄さんの「TAKASHI」も鎌倉からお手伝いに来てくれて、とても助かった。その彼がギャラリーの近くの公園で遊んでいた小学4年生の女の子2人に「あそこのギャラリーでとても素敵な絵を展示しているから見に行ってみて!」と声をかけたそうで、その2人がやって来た。2人は作品を見るなり「すごーい!」と声を挙げて、1階も2階も時間をかけてじっくりと見て行った。その2人が最終日に再びやってきたのだ。「この絵って、いつまででも見ていられるよね!」「うん!」と話しているのが聴こえた。そして「今日が最後なんですよね。何時までなんですか?」と聞くので「5時までだよ」と答えると「5時までいてもいいですか?」と、すかさず聞くので「いいよ!」と答えた。すると2人で2階に上がって何やら相談してるなと思って下りてくるなり「あのー私達を新入社員にしてもらえませんか?」と言ってきたのだ(笑)私は可笑しくて「いいですよ」と返事をすると「新入社員として一生懸命頑張りますので、どうぞよろしくお願いします!」とお辞儀をして、さっそく来たお客様を「いらっしゃいませー!」と玄関で元気にお出迎えし始めた。2階に上がられた方には「このノートに名前や感想などを書いてくださいね」と言いにいったり、グッズの商品や画集をトントンと整理整頓したりして、私が何にも言わないのにずっと働き続けてくれていたのだ。帰られる方には、さらに丁寧に「ありがとうございました!」と深々と頭を下げ「お客様は神様だからね」と互いにうなづき合ったりしている。なんて愛おしいんだろう…。そして5時丁度になると「私達もノートに書いたので見てくださいね」と言って互いの家族が待つ家へと帰っていった。ノートには「あきこさん(店長)へ。今日は1日私たち2人をはたらかせていただいてありがとうございました。いろいろあいさつをしたり、しょう品をならべたりして、とてもたのしかったです。ありがとうございました。これからもがんばってください。(新入しゃいん)より」と書かれてあった。彼女達が最後のお客様だ。いや初めての新入社員か(笑)。
愛しきもの達と出会い触れ合った、宝物のような個展。出会ってくださったみなさまへ、ありがとうございました。







