「奉仕と瞑想」

ビパッサナ瞑想における奉仕と座りの修行を終えた。

座りは1996年に初体験してから何度か経験してきていたが奉仕は実に初めてのことで、どうなることかとドキドキしていたが、なるようになるんだろうなーと思っていた。最初にATというビパッサナ指導者の先生から「∀さんはお料理とか得意ですか?キッチンで働く奉仕者の中からキッチンコーディネーターというリーダーを選ばなくてはならないんですが∀さんどうかと思いまして」というお話があった時「とんでもない!料理もそんなに得意じゃないですし、何よりリーダーとかそういうの自分には全く向いてないので無理ですね。ただ、やれと言われればやりますけど」とお答えしたら、コース開始の際、生徒さんに奉仕者が紹介される番になって「キッチンコーディネーターは∀さんです」と発表されてしまった(笑)。他の奉仕者からは「わー初めての奉仕でコーディネーター。大変ですねー」と哀れみの混じった声。前回のコースの奉仕者は「修羅場になるとは思いますが、まぁダンマ(自然の法)がきっと導いてくれるでしょう」という謎めいた言葉を残して去っていった。今までとにかく団体行動とか、人と協調性を持って働くとかが苦手だった自分は極力そういう場に身をおくことを避けて生きてきた。ましてや人に指示したり指示されたりといったことも大の苦手だった私。でも、そういう自分が勝手に創り上げてきた概念をぶちこわす絶好の機会を与えられたのだった。キッチンの中は常に忙しい。瞑想に集中する生徒さんのための大切な食事の材料の計量と仕込みと調理とサーブを10日間休みなくこなしていかなければならない。私の人生の中であれほどキッチンにいたこともなかったし、ずっと立ちっぱなしだったこともなかった。まわりのキッチンスタッフは「∀さん、ちょっと腰掛けて休んだらどうですか?」「∀さんの代わりに私が何でもやりますから言ってください!」と気づかってくれたり優しくしてくれて、本当に彼らに随分と救われた。私はこのまま集中していけば10日間は絶対もつだろうと過信していたのだが、あえなく8日目に水下痢になってしまいダウンしたのだった。同じく奉仕で男性と女性のコースマネージャーをしていた「KENTAとNAO」が傍らでとても心配してくれているのがわかった。みんなのお陰で半日で回復し復帰することができたのは奇跡だった。実はセンターに到着した時から「8」という数字のビジョンが現れていたのだ。「8ってDAY 8のことかな。なんなんだろ?」と思っていたのだが、まさかこういうことだったとは…。NAO曰く「∀はね、常に一生懸命だからねー。精神は人並み以上に強くても肉体がついていけなかったんだね」と。「そういうことか」と改めて自分を知るいい機会となったのだった。KENTAは「8ラウンドKOだなー」とおもしろがっていたけどね。この時一緒に奉仕した仲間とはとても縁があるのだなぁとしみじみ感じた。絵描きをしていただけでは絶対味わえなかった、とても貴重な経験をさせていただいたと思う。

奉仕の後の座りはとても深いと聞いていた。それも体験すればわかるのかなと思っていたが、実際に今までで一番苦しい修行になった。それは自分の中の潜在意識の奥底にしまい込んでいた感情が溢れ出して心を翻弄し始めたからだった。「怒り、憎しみ、恐れ、などなど」ネガティブなものがどんどん浮き上がっては自分を圧倒していく。自分でも気づかなかった毒や濁りに直面する時間でもあった。それは体に激痛となって、沸騰するような熱となって現れ「あぁ、もうここから逃げ出してしまいたい」という衝動が沸き起こる。でもそれが5日目を過ぎる頃からだいぶ穏やかになっていき、闇から光への道を少しづつではあるが歩いているんだという確信へと変わった。これは身を持って体験しなければ通れないプロセスなのだ。頭の中だけでは決して辿り着くことのない旅。心の旅、魂の旅なのだ。それでも今の私はまだまだ旅の途中。そして大切なのは今この瞬間。これからは、もっと自分の心に寄り添っていこうと思った。そうすることで一番身近な存在である家族、夫でありビジネスパートナーでもあり同志でもあるソウルメイトのNOBUYAのことも、もっと理解したいと思えたのだった。色んなことに気づかされた今回の奉仕と瞑想の体験を、表現者である私はやはり自身のアートの中に生かしていきたいと思う。それが今生での私の学びでもあるから。ありがとうダンマ。ありがとうみなさん。ARTGYPSYもいよいよ始動開始です。今年も日本各地で結ばれるご縁を楽しみに…。

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